恐竜の前足と鳥類の翼の「指」は同じ 150年続く指論争に終止符を打つ発生研究

恐竜から鳥への進化 唯一残されていた矛盾を解決

鳥類が恐竜の一部から進化したことは様々な証拠から広く支持されていますが、恐竜の前足の3本の指は第1-2-3指であるのに鳥類のそれは第2-3-4指である、というパラドクスが問題点として指摘されていました。今回、東北大学大学院生命科学研究科の田村宏治教授と大学院生の野村直生さんらは、発生学的解析から鳥類の翼の3本の指が第1-2-3指として形成されていることを示し、始祖鳥の発見以来150年に及ぶこの問題を解決しました。本研究成果は鳥類恐竜起源説の強力な証拠となるもので、その内容は2011年2月11日発行の米国の科学雑誌Scienceに掲載されました(プレスリリースはこちら)。「いろいろな生き物がこれほど多様な形をしているのはなぜだろう?」―不思議だと思うことをサイエンスとして追求したいと語る田村教授に、本研究の魅力について聞きました。

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田村 宏治 (東北大学大学院生命科学研究科 教授)
栃木県立宇都宮高等学校卒業(1984年)。東北大学理学部生物学科(1988年卒業)から 同大学院理学研究科博士課程に進み、1993年に修了。博士(理学)を取得。 日本学術振興会特別研究員(DCおよびPD)、東北大学大学院理学研究科助手、 アメリカ合衆国ソーク研究所(Salk Institute)研究員、東北大学大学院理学研究科助教授 を経て、同大学院生命科学研究科の設立に伴って同研究科の助教授に就任し、 2007年4月より現職。